アカデミックライティングとは、大学や研究機関などの学術的な場で使われる、事実と根拠に基づいた論理的な文章の書き方のことです。日常的な会話やSNSの投稿では、自分の感情や感覚に基づく表現が許されますが、アカデミックライティングではそうした主観的な表現は避け、第三者が読んでも理解・納得できる文章を目指します。
このスキルは、レポート、卒業論文、研究発表だけでなく、就職活動や社会人としての資料作成にも活かせます。例えば、研究結果をまとめた報告書や、顧客への提案書など、論理性と説得力が求められるあらゆる場面で役立ちます。初心者にとっては「難しそう」と感じるかもしれませんが、ポイントを押さえて練習を重ねれば、誰でも身につけられるスキルです。
アカデミックライティングの重要な特徴と初心者が押さえるべきポイント
アカデミックライティングにはいくつかの明確な特徴があります。これらを理解し意識することは、文章の完成度を大きく左右します。
- 客観性と公平性
自分の感情や価値観に依存せず、事実と根拠に基づいて主張を構築します。例えば「この政策は悪い」ではなく、「この政策は〇〇というデータによって効果が低いと示されている」と書くことで、説得力が増します。 - 明確さと正確さ
曖昧な表現は避け、具体的な数値や事実を用います。「多くの学生」よりも「調査対象の68%の学生」といった明確な記述が望ましいです。 - 根拠に基づく主張
主張には必ず、信頼できる出典や統計、実験データなどを添えます。引用や参照の記載がないと、説得力が弱まるだけでなく、盗用とみなされる危険があります。 - フォーマルで統一された文体
スラングや口語表現は避け、正式な言葉を使います。文章のスタイルを全体で統一し、読みやすさと信頼性を確保します。
これらの特徴を意識すれば、初心者でも短期間で文章の質を向上させることができます。
学術的な文書の種類とそれぞれの特徴・目的
エッセイ:主張と根拠を明確に示す短〜中程度の文章形式
エッセイは、特定のテーマに対して筆者の立場を明確にし、それを根拠で支える文章です。構成は**導入(テーマと主張の提示)→ 本論(根拠と事例の提示)→ 結論(まとめと再主張)**が基本です。短くても論理の一貫性が必要で、段落ごとに主題をはっきりさせることが重要です。
研究論文:独自の調査や分析をもとに深く掘り下げる長文の学術文書
研究論文は、自分で設定した課題について調査・分析を行い、その結果を詳細にまとめる文章です。序論・方法・結果・考察・結論の形式が多く、特に独自性と信頼性が求められます。長期的な計画と徹底した情報管理が成功のカギです。
文献レビュー:既存研究を整理・比較し研究の現状を示す文章
文献レビューは、あるテーマに関する既存の研究成果を比較・分析し、研究の全体像や課題を整理します。新しい研究を始める前段階として非常に重要で、文献の選び方と整理の仕方が質を左右します。
実験レポート:科学実験の目的・方法・結果・考察を記録する報告書
実験レポートは、科学実験や調査を行った経過と結果を記録します。読んだ人が同じ条件で再現できるレベルの具体性が必要です。目的→方法→結果→考察→結論という順序が基本で、客観性が特に重視されます。
アカデミックライティングの書き方ステップ
1. テーマの理解と目的の明確化
課題の指示やテーマ文をよく読み、求められていることを正確に把握します。「何を」「誰に」「なぜ」伝えるのかを明確にし、文章の方向性を決めます。
2. 情報収集と信頼できる資料探し
大学の図書館やGoogle Scholar、学術データベースを活用し、信頼性の高い情報を収集します。著者や出版年、引用数などをチェックし、信頼度の低い情報は避けます。
3. アウトライン(構成案)の作成
導入・本論・結論の3部構成を意識し、段落ごとの役割を事前に決めます。アウトラインを作ることで文章の流れが明確になり、論理の飛躍を防げます。
4. 下書きの作成
アウトラインに沿って文章を書きます。この段階では表現の細かさよりも全体の流れと論理の一貫性を優先します。
5. 推敲と校正
書き上げた文章を読み返し、文法・語彙・論理のつながりを確認します。引用や参考文献の形式もチェックし、誤字脱字を修正します。
学術文書の執筆を始める学生が必ず守るべきことと避けるべきこと
すべきこと
- 書く前に計画と構成を作る
- 信頼できる情報源を使用し、必ず引用する
- 明確で簡潔な文章を心がけ、正式な言葉を使う
- 提出前に必ず推敲・校正する
してはいけないこと
- 他人の文章やアイデアを無断で使用する(盗用)
- スラングやくだけた表現を使う
- 論理の流れを無視して書き進める
- 根拠やデータなしに主張する
アカデミックライティングのおすすめ参考書
WRITING ACADEMIC ENGLISH (4E)
WRITING ACADEMIC ENGLISH (4E)は、海外でアカデミックライティングの教科書といえばこれ!という本です。
基本的な英文のアカデミックライティングに必要な要素をスッテプ毎に学べる内容です。
様々なパターンのエッセイライティングを学ぶことが出来るので、アカデミックライティングが必要な様々な方のニーズに合った勉強をすることができます。
大学生のためのアカデミック英文ライティング
大学生のためのアカデミック英文ライティングは、英語で論文を書く必要がある方や、IELTSやTOEFL試験のライティングをする必要がある方にオススメの本です。
アカデミックライティングって何?という方に向けて丁寧に教えてくれます。
日本語で書かれたアカデミックライティングの参考書では1番良い本だと思います。
まとめ:アカデミックライティングを身につけて学業と将来に活かすために
アカデミックライティングは、論理的思考力・分析力・情報整理力を養うための重要なスキルです。最初は難しく感じても、客観性・明確さ・根拠・フォーマルさの4つを意識し、正しい手順で練習を重ねれば確実に上達します。
学業だけでなく、将来のキャリア形成にも直結するスキルなので、早いうちから習得しておくことをおすすめします。




コメント