英語を学ぶ際、自分のレベルを客観的に評価するための基準としてCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)が広く利用されています。特に、日本人が受験することの多いIELTSを始め、TOEICやTOEFL、英検などの試験結果をCEFRのレベルに換算することで、自分の英語力を正確に把握し、今後の学習計画を立てる際の参考にすることができます。
本記事では、CEFRとは何か、IELTSのスコアがCEFRのどのレベルに相当するのか、さらに他の主要な英語試験との対照表を詳しく紹介します。
CEFRとは?
CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)は、言語学習者の能力を評価するためのヨーロッパ共通の基準です。この基準は、ヨーロッパで言語教育を統一する目的で1990年代に開発されました。CEFRは、学習者の言語スキルを6つのレベル(A1からC2)に分類し、これにより異なる言語の能力を客観的に比較することが可能になります。
CEFRの背景と目的
CEFRは、ヨーロッパの言語教育政策の一環として開発されました。その目的は、言語学習者が自己の進捗を評価しやすくし、教師が学習者の能力を正確に評価するための一貫した基準を提供することです。また、異なる教育システム間での学習成果を比較しやすくするためにも利用されています。
CEFRの6段階のレベル
- A1(初心者): 基本的な日常表現や簡単な文章を理解し、使用することができる。
- A2(初級): 身近な話題についての簡単な文章を理解し、基本的な情報を交換することができる。
- B1(中級): 職場や学校、旅行などで必要な言語を使用し、日常生活に関する問題を処理できる。
- B2(中上級): 複雑な文章を理解し、流暢に会話することができる。
- C1(上級): 幅広いテーマについて明確で詳しい意見を述べることができる。
- C2(熟達): 母国語話者と同等の理解力と表現力を持ち、専門的な場面でも適切に対応できる。
IELTSはCEFRではどのレベル?
IELTSとは?
IELTS(International English Language Testing System)は、英語圏の大学や職場で必要とされる英語能力を評価するための国際的な試験です。IELTSは、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの大学や、企業、政府機関で広く認知されています。
IELTSとCEFRの対照
IELTSのスコアは、CEFRの各レベルに対応しています。以下に、IELTSスコアとCEFRレベルの対照を示します。
IELTSとCEFRの対応表
- IELTS 4.0-5.0 → B1(中級): 基本的な日常会話ができ、職場や学校での基本的な要求に応じることができる。
- IELTS 5.5-6.5 → B2(中上級): より複雑な文を理解し、詳細にわたる文章や意見を述べることができる。
- IELTS 7.0-8.0 → C1(上級): 幅広い複雑な文章を理解し、流暢かつ自然に表現することができる。
- IELTS 8.5-9.0 → C2(熟達): 母国語話者と同等の理解力を持ち、あらゆる場面で適切に対応できる。
CEFRの各レベルにおけるIELTSスコアの意味
- B1(IELTS 4.0-5.0): 日常的な会話や、仕事や旅行での基本的な要求に対応できる。
- B2(IELTS 5.5-6.5): 仕事や学業で必要な、より高度な言語運用能力を持つ。
- C1(IELTS 7.0-8.0): 専門的なテーマや、学術的な議論においても自信を持って表現できる。
- C2(IELTS 8.5-9.0): 言語的に非常に複雑な状況でも、流暢に対応し、詳細な理解と表現が可能。
IELTS以外の試験とCEFRの対照
TOEICとCEFRの対照
TOEIC(Test of English for International Communication)は、ビジネス英語の運用能力を評価する試験です。多くの企業が採用時や昇進の基準としてTOEICスコアを利用しています。
TOEICとCEFRの対応表
- TOEIC 225-545 → A2(初級): 基本的な日常的なやり取りができる。
- TOEIC 550-780 → B1(中級): 職場や旅行での具体的な情報交換ができる。
- TOEIC 785-940 → B2(中上級): 幅広い話題について詳細にやり取りできる。
- TOEIC 945-990 → C1(上級): 流暢で自然な言語使用ができる。
TOEFLとCEFRの対照
TOEFL(Test of English as a Foreign Language)は、英語圏の大学で学ぶための英語能力を評価する試験です。特にアメリカの大学で広く利用されています。
TOEFLとCEFRの対応表
- TOEFL 42-71 → B1(中級): 日常的な話題に関する基本的な理解と表現ができる。
- TOEFL 72-94 → B2(中上級): 学術的な文章や議論を理解し、参加できる。
- TOEFL 95-120 → C1/C2(上級/熟達): 複雑な学術的内容を理解し、詳細に議論できる。
英検とCEFRの対照
英検(実用英語技能検定)は、日本国内で広く認知されている英語検定試験で、小学生から社会人まで幅広く受験されています。
英検とCEFRの対応表
- 英検3級 → A2(初級): 簡単な会話や文章を理解し、使用できる。
- 英検準2級 → B1(中級): 職場や学校での日常的なやり取りができる。
- 英検2級 → B2(中上級): 幅広い話題について詳細にやり取りできる。
- 英検準1級 → C1(上級): 複雑な文章を理解し、流暢に表現できる。
- 英検1級 → C2(熟達): 非常に高度な理解力と表現力を持ち、専門的な場面でも対応できる。
世界で求められる英語力をCEFR基準で見てみよう
日本人の平均的CEFRレベルは?
日本人の英語力は、教育システムや英語学習環境の影響を受けています。多くの調査によると、日本人の平均的な英語能力はCEFRのB1レベルです。これは、基本的な日常会話や職場での簡単なコミュニケーションは可能ですが、より複雑な議論や高度な学術的文章の理解には難があることを示しています。
留学を目指す人
留学を目指す場合、目指すべき英語力は一般的にCEFRのB2レベル以上です。多くの大学や専門学校は、入学基準として以下のような英語力を求めています:
- IELTSスコア6.0-7.0(CEFR B2-C1)
- TOEFLスコア72-94(CEFR B2)
このレベルに達することで、学術的な講義やディスカッションに積極的に参加し、研究活動を支障なく進めることができます。
仕事で海外へ行く人
仕事で海外勤務を希望する場合、最低でもCEFRのB2レベルが必要です。特にビジネス英語を必要とするポジションでは、C1以上の英語力が求められることが多いです。これにより、以下のような業務がスムーズに行えます:
- 海外の同僚やクライアントとの会議や交渉
- ビジネス文書の作成や読み取り
- プレゼンテーションの実施
国内で活躍したい人
国内の多国籍企業や国際部門でのキャリアを目指す場合、CEFRのB2レベル以上の英語力が求められることが多いです。特に、以下のような場面で有利です:
- 外国人とのコミュニケーション
- 国際会議や研修の参加
- 英語での報告書やメールの作成
IELTSスコアをCEFRに換算するとB1〜C2レベル、目指すレベルはB1~C1
IELTSスコアとCEFRレベルの換算
IELTSスコアは、0から9までの範囲で評価され、各バンドスコアは特定の英語能力レベルを示します。このスコアは、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのセクションの総合評価です。以下は、IELTSスコアとCEFRレベルの対応表です。
IELTSスコアとCEFRの対応表
- IELTS 4.0-5.0 → B1(中級)
- IELTS 5.5-6.5 → B2(中上級)
- IELTS 7.0-8.0 → C1(上級)
- IELTS 8.5-9.0 → C2(熟達)
各CEFRレベルで目指すべき具体的な目標
B1(中級)レベル
- リスニング: 明瞭な標準的な話し方であれば、日常会話のポイントを理解できる。
- リーディング: 簡単な文章や指示を理解できる。
- ライティング: 簡単な日常的な事柄について文章を書くことができる。
- スピーキング: 自分の意見を簡単に述べることができる。
B2(中上級)レベル
- リスニング: 日常的な会話やラジオ番組などの内容を理解できる。
- リーディング: 複雑な文章や専門的な文献を理解できる。
- ライティング: 複雑な事柄についてのエッセイやレポートを書くことができる。
- スピーキング: 流暢かつ自然に会話することができ、広範な話題について詳しく説明できる。
C1(上級)レベル
- リスニング: 幅広い話題についての長い会話や講義を理解できる。
- リーディング: 高度な学術的文章や複雑なリポートを理解できる。
- ライティング: 明確で流暢な文章を作成し、複雑な概念や意見を表現できる。
- スピーキング: 詳細かつ流暢に自分の意見を述べることができ、複雑な問題についても議論できる。
C2(熟達)レベル
- リスニング: 母国語話者と同等の理解力を持ち、複雑な会話や議論を完全に理解できる。
- リーディング: あらゆる種類の文章を容易に理解できる。
- ライティング: 高度な精度とニュアンスを持って文章を書くことができる。
- スピーキング: 自然で流暢な表現ができ、どんな状況でも適切に対応できる。
目指すレベルはB1~C1
日本人が目指すべき英語力のレベルは、通常の生活や仕事で役立つB1レベルから、学術的や専門的な場面で必要とされるC1レベルまでの幅広い範囲です。具体的には、次のような目標を設定すると良いでしょう。
- 日常会話や基本的な仕事に必要な英語力: B1
- 大学での学習やビジネスの場で必要な英語力: B2
- 高度な職場や学術研究に必要な英語力: C1
まとめ
CEFRは英語力を評価する国際的な基準で、IELTSやTOEIC、TOEFLなどの試験結果と対照できます。日本人の平均英語力はB1レベルですが、留学や仕事ではB2以上を目指すことが推奨されます。CEFRを利用して具体的な学習目標を設定し、英語力を向上させましょう。
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