日本語には、私たちの行動や努力が結果を大きく左右するという意味を持つ「生かすも殺すも自分次第」という言葉があります。このフレーズは、チャンスを活かすか無駄にするか、成功するか失敗するかは、すべて自分自身の行動にかかっている、という強いメッセージを伝えます。
でも、この日本語のニュアンスを英語で伝えるのは、実は少し難しいんです。なぜなら、言葉の背景にある文化や考え方が違うからです。この記事では、「生かすも殺すも自分次第」が持つ意味を分かりやすく解説し、それを英語で表現するための様々なフレーズを、初心者の方にも使いやすいようにご紹介します。
「生かすも殺すも自分次第」の本当の意味とは?
まずは、この日本語のフレーズがどんな意味を持っているのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
言葉の意味:あなたの行動が結果を決める!
「生かすも殺すも自分次第」という言葉は、文字通りに分解すると次のようになります。
- 「生かす」: 良い方向に活かす、成功させる、最大限に利用する、という意味です。
- 「殺す」: 無駄にする、台無しにする、失敗させる、という意味です。
- 「自分次第」: すべては自分にかかっている、自分の行動や決断で決まる、という意味です。
つまり、このフレーズは「何かを成功させるか、それとも失敗させるか、それはすべてあなた自身の行動や選択にかかっている」ということを意味します。自分の努力や決断が、最終的な結果を大きく左右するという、責任の重さを伝える言葉です。
ちょっと深い話:この言葉のルーツ
この「生かすも殺すも自分次第」という言葉は、実は「生殺与奪(せいさつよだつ)」や「活殺自在(かっさつじざい)」という古い四字熟語と関係があります 。
これらの言葉は、昔の中国で、支配者が人々の命や運命を完全にコントロールする「絶対的な力」を持っていたことを表すために使われていました 。例えば、「活殺自在な社長」という表現は、社長が会社全体を思い通りに動かせる、という意味で使われます 。
このように、「生かすも殺すも自分次第」という日本語のフレーズは、単に「自分のことは自分で決める」というだけでなく、「自分の行動が、周りの状況や他の人にも大きな影響を与える、強い力を持っている」というニュアンスを含むことがあります。これは、英語の表現と比べると、少し特別な点です。
「生かすも殺すも自分次第」の英語の表現
それでは、この日本語のフレーズを英語でどう表現するか見ていきましょう。いくつかのパターンがありますが、どれもよく使われる表現です。
It’s up to you whether you make it or break it.「成功も失敗もあなた次第!」
これが「生かすも殺すも自分次第」に最も近い英語表現としてよく使われます。
- “It’s up to you”: 「あなた次第です」「あなたにかかっています」という意味です。
- “make it or break it”: 「成功させるか、それとも失敗させるか」という意味の決まった言い方(イディオム)です。
このフレーズは、特に「チャンス」や「プロジェクト」など、結果が成功か失敗かのどちらかにはっきり分かれるような状況で使われます。 「all」を加えて “It’s all up to you whether you make it or break it.” と言うと、「すべて完全にあなた次第だ」という気持ちを強く伝えられます 。
例文:
- “This new business venture is a big risk, but it’s all up to you whether you make it or break it.” (この新しい事業は大きなリスクだけど、成功するか失敗するかは全てあなた次第だ。)
- “You have one chance to prove yourself in the competition. It’s up to your performance whether you make it or break it.” (君にはこの競争で自分を証明する一度のチャンスがある。成功するか失敗するかは君のパフォーマンス次第だ。)
You can decide whether to make or break this chance. 「このチャンスを活かすか潰すか、あなたが決められる!」
この表現も「生かすも殺すも自分次第」に近いニュアンスの表現です。
「It’s up to you」が「責任」に焦点を当てるのに対し、「You can decide」は「あなたが決めることができる」という選択の力をよりはっきりと伝えます。
例文:
- “The company’s future is uncertain, but by implementing these new strategies, you can decide whether to make or break this chance.” (会社の将来は不確かだが、これらの新しい戦略を実行することで、この好機を活かすか潰すかをあなたが決めることができる。)
Everything is up to me/you!「すべては私(あなた)次第だ!」
こういう言い方でも表現可能です。
「生かすも殺すも」という具体的な行動を言わなくても、「すべては自分自身の選択や行動にかかっている」という気持ちを伝えることができます。
例文:
- “After that setback, I realized: Everything is up to me now!” (あの挫折の後、私は悟った。全ては今、私次第なのだ!)
「生かすも殺すも自分次第」に似た他の英語表現
「生かすも殺すも自分次第」と全く同じ意味ではないけれど、似たような「自分次第」の気持ちを伝える英語のイディオム(慣用句)もいくつかあります。
The ball is in your court.「次はあなたの番だよ!」
このイディオムは、テニスなどのスポーツが元になっています。ボールが自分のコートにある時、次は自分が打つ番ですよね? このフレーズは、「もう私はやるべきことをやった。次はあなたが行動したり、決断したりする番だ」という意味で使われます 。
例文:
- “We’ve made our final offer. Now the ball is in your court to accept or reject it.” (私たちは最終提案をしました。今度はあなたがそれを受け入れるか拒否するか、決定権はあなたにあります。)
- “I’ve given you all the information you need. The ball is in your court now.” (必要な情報はすべてお伝えしました。次はあなたの番です。)
You hold the key to your own success.「成功の鍵はあなたが握っている!」
この表現は、「あなたの成功は、外部の状況や運ではなく、あなた自身の能力や努力、そして内なるやる気にかかっている」ということを強調します 。「鍵を握る」という言葉が示すように、成功への道を開く力は、あなた自身の中にある、というポジティブなメッセージです。
例文:
- “Don’t wait for opportunities to come to you. By actively creating them, you hold the key to your own success.” (機会が訪れるのを待つな。積極的に機会を創り出すことで、あなたは自身の成功の鍵を握っているのだ。)
- “We know you have the strength and potential within you to make lasting, positive changes. You hold the key to your own success.” (私たちは、あなたが永続的でポジティブな変化をもたらす強さと潜在能力を内に持っていることを知っています。成功の鍵はあなたが握っているのです。)
You make your own luck.「運は自分でつかむもの!」
このイディオムは、「運」がただの偶然ではなく、あなたの努力や準備、そしてチャンスを掴むための行動の結果である、という考え方を伝えます 。「頑張れば頑張るほど、運が良くなる!」という気持ちに近いですね 。
例文:
- “He believes in making your own luck by saying ‘yes’ to opportunities and meeting as many people as possible.” (彼は、チャンスに「イエス」と言い、できるだけ多くの人と出会うことで、運は自分でつかむものだと信じている。)
- “If you just sit around waiting for everything to fall into place, nothing is gonna happen. You make your own luck.” (ただ座ってすべてがうまくいくのを待っていても、何も起こらない。運は自分でつかむものだ。)
状況に合わせて使い分けよう!
「生かすも殺すも自分次第」を英語で表現する時は、どのフレーズを使うか、状況に合わせて選ぶことが大切です。
どんな時にどのフレーズを使う?
- 「チャンスを活かすか無駄にするか」 のように、具体的な機会の成功・失敗について話すなら:
- “It’s up to you whether you make it or break it.”
- “You can decide whether to make or break this chance.”
- 「すべては自分にかかっている」 と、もっと広い意味で自分の責任を伝えたいなら:
- “Everything is up to me/you!”
- 「次はあなたの番だ」 と、相手に次の行動を促したいなら:
- “The ball is in your court.”
- 「成功は自分自身の努力でつかむものだ」 と、ポジティブなメッセージを伝えたいなら:
- “You hold the key to your own success.”
- “You make your own luck.”
誰に話すか、どんな場面か?
- ビジネスシーンやフォーマルな場では、”It’s up to you whether you make it or break it.” や “The ball is in your court.” が適切です。
- 友達との会話やカジュアルな場では、”Everything is up to you!” が使いやすいでしょう。
- 誰かを励ましたり、やる気を引き出したい時は、”You hold the key to your own success.” や “You make your own luck.” が効果的です。
ちょっとした注意点
日本語の「生かすも殺すも自分次第」は、時に「他人の運命や状況までコントロールできる」という強い意味合いを持つことがあります 。しかし、今回ご紹介した英語のフレーズは、主に「自分自身の行動や結果に対する責任」に焦点を当てています。もし、日本語の持つ「他者への強い影響力」を伝えたい場合は、文脈で補足するか、より直接的な表現(例: “have absolute control over…”)を使う必要があるかもしれません。
まとめ:英語で「自分次第」を伝えよう!
「生かすも殺すも自分次第」という日本語のフレーズは、私たちの行動が結果を大きく左右するという、とても大切なメッセージを持っています。英語では、このメッセージを伝えるために、いくつかの異なる表現があります。
- “It’s up to you whether you make it or break it.” (成功も失敗もあなた次第!)
- “Everything is up to me/you!” (すべては私/あなた次第!)
- “The ball is in your court.” (次はあなたの番だよ!)
- “You hold the key to your own success.” (成功の鍵はあなたが握っている!)
- “You make your own luck.” (運は自分でつかむもの!)
これらのフレーズは、それぞれ少しずつニュアンスが異なります。この記事で学んだことを参考に、状況や伝えたい気持ちに合わせて、ぴったりの英語表現を選んでみてください。そうすることで、あなたの英語でのコミュニケーションは、もっと豊かで正確になるはずです!





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